地歌。三下がり端歌。芝居歌もの。多門庄左衛門作詞。岸野次郎三(1660~1720)作曲。吼噦とは狐の鳴き声、また、狐という意味です。吼噦は江戸元禄期(1688~1701)の芝居歌です。芝居歌の中で最古典曲です。作曲の岸野次郎三(1660~1720)は、地歌三味線演奏家で、京都祇園井筒屋の主人で歌舞伎の三味線方でした。歌詞は母親の病気を治すために招いた法師が、実は母親に恋慕する狐の化けたものであったために追い払うといった内容です。又は古浄瑠璃「信太妻」と浄瑠璃「芦屋道満大内鑑」からの典拠との説があり、これらは信太の森の白狐 (しろぎつね) が葛の葉姫に化けて、安部保名 (あべのやすな) と契り一子をもうけたが、正体を知られて古巣に帰ったという伝説を主題としたものです。当時、流行っていたものの内容を大前提にして地歌では省略された文言も多いので、この解釈になると母親(狐)と子の別れの情愛を歌った内容とも思われます。

*随所に当時の流行小歌や諺などを読み込み、反復句も多く、どちらにしても演奏すると劇的な語り物としての感動があります。300年前に作曲された曲ですが、ほかの曲にない手や曲の流れは新鮮で面白いです。

狐会(こんかい、吼噦)【Konkai】・・独奏 瀬端淑子


【歌詞】

 痛はしや母上は、花の姿に引きかへて、萎るる露の床の内、

 智恵の鏡もかき曇る、法師にまみえ給ひつつ。

母を招けば後見返りて、さらばといはぬばかりにて、 泣くより外のことぞなき。

野越え山こえ里打ち過ぎて、

来るは誰ゆゑそさまゆゑ、誰ゆゑ来るは、来るは誰ゆゑそさま故。

 君恋し、寝ても覚めてもな、わすられぬ、わが思ひ、わが思ひ、

それをもみれば、春の花散りて秋の紅葉も色づく、

世の中は電光石火の夢のうち、捨てて願ひをさ、捨てて願ひをさ、

なむあみだぶつ、なむあみだ。

 君は帰るか恨めしや。

いのうやれ、わが住む森に帰らん、 勇みに勇みて帰らん、わが思ふわが思ふ、心の内は白菊。

 岩隠れ蔦隠れ、篠の細道かき分け行けば、虫の声々面白や。

 降りそむるやれ、降りそむる降りそむる、今朝だにも今朝だにも、 處は跡もなかりけり。

西は田の畔危ないさ。 谷峯しどろに越えゆく。

あの山越えてこの山越えて、 こがれ焦るる憂き思ひ。

【その他の演奏形式】

   二重奏(箏+三絃)~https://youtu.be/pj6EwiC3mR4

   二重奏(三絃+尺八)~https://youtu.be/PYdDjG3MhaY