地歌。謡い物。石川勾当作曲。 「石川三つ物」の一つ。謡曲の世阿弥の傑作と言われる「融」から歌詞が取られています。河原左大臣源融が風雅を尽くした塩釜の廃墟を描き、融の亡霊が遊舞の袖を翻し、夜明けとともに去っていくという内容です。 全曲を通じて、月の幻想的な情景が展開されます。河原左大臣源融は源氏物語の光源氏のモデルとも言われています。

【toru】・・独奏 瀬端淑子

 【歌詞】

あの籬が島の松陰に、明月に舟を浮かべ、月宮殿の白衣の袖も、

三五夜中の新月の色、千重振るや、雪を廻らす雲の袖。

さすや桂の枝々に、光を花と散らす粧ひ。

ここにも名に立つ白河の、波の、あら面白や曲水の盃、

うけたりうけたり遊舞の袖。(手事)

あら面白の遊楽や。そも明月のその中に、まだ初月の宵々に、

影も姿も少なきは、如何なる謂はれなるらん。 それは西岫に、

入り日の未だ近ければ、その影に隠さるる、 たとえば 月のある夜は、

星の薄きがごとくなり、 青陽の春の始めには、霞む夕べの遠山、

眉墨の色に三日月の、影を舟にもたとへたり。

また水中の遊魚は、釣り糸とも疑ふ、 雲上の飛鳥は、弓の影とも驚く、 

一輪も降らず、万水も昇らず、 鳥は地辺の樹に宿し、

魚は月下の波に伏す。 聞くとも飽かじ秋の夜の、 鳥も鳴き、(手事)

鐘も聞こえて、月もはや、影傾きて明け方の、雲となり雨となる。

その光陰に誘はれて、月の都に、入り給ふ粧ひ、

あら名残惜しの面影や、 あら名残惜しの面影や。

【その他の演奏形式】

    三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/4b8LZ6neLFA