地歌(地唄)、本調子端歌物。峰崎匂当(1750?~1801)作曲。流石庵羽積(『歌系図』の著者)作詞。

「雪」は江戸時代後期、天明期(1780年代)に作られ、地歌で最も有名な曲で最高傑作といわれます。

尼になって浮世を捨てた大坂南地の芸妓そせきが来ぬ人を待ったある冬の夜を回想しつつ、仏門に入った清浄な心に安らぎを感じている現在の心境を述懐しています。享楽の現世と無常の世が詞の中に見事に歌われています。「若しやいつそせきかねて」と詞章中に名が読み込まれています。

曲中に雪の場面はないが、合の手に鐘の音の美しい描写が入り、雪や寒さを表現しています。この合の手は『雪の手』として長唄、歌舞伎芝居などの下座に誤って雪の降る描写に取り入れられる利用されています。地唄舞としても代表曲の一つです。

*この曲は、歌の音域も広く、合の手の旋律と間を作者の意図を感じながら格調高く演奏するには、最も難しい端歌物の曲と思われます。

【Yuki】・・独奏 瀬端淑子

【歌詞】

 花も雪も払へば清き袂かな、[合]

ほんに昔の昔の事よ、我が待つ人の我を待ちけん、[合]

鴛鴦の雄鳥に物思ひ羽の、凍る衾に鳴く音もさぞな、さなきだに、心も遠き夜半の鐘、[合]

 聞くも淋しき独り寝の、枕に響く霰の音も、もしやといっそ堰きかねて、[合]

落つる涙の氷柱より、[合] 辛き命は惜しからねども、恋しき人は罪深く、思はぬ[合]

事の悲しさに、捨てた浮き、[合] 捨てた憂き世の山かづら。

【その他の演奏形式】

    二重奏(三絃・尺八)・・https://youtu.be/IMLAgE3SrSg

    二重奏(三絃・箏)・・https://youtu.be/RGPFLJCvBi4

    二重奏(三絃・尺八)・・ https://youtu.be/cx54691Zqcs